慶応義塾大学医学部 拡張知能医学 桜田一洋先生によるセミナーが開催されました

日 時: 2025年3月25日(火)14:30~

場 所: コラーニングハウスⅡ講義室

講演者: 桜田 一洋 先生
 
所 属: 慶應義塾大学医学部 大学院医学研究科 拡張知能医学

タイトル:予測医学のための時系列データの学習と生物力学

要旨
私の研究目標は、「予測に基づく予防医療の実現」である。症状が共通していても、病気の原因や発症後の症状の現れ方は、男女や個人によって異なるだけでなく、同じ人のライフステージによっても変化する。しかし、従来の医療は症状に焦点を当て、集団観察から標準化された情報を基にして解釈を行っているため、必ずしも個人に最適な医療ではなく、また、病気を完全に治すこともできない。これからの医療は、高精度な予測(Prediction)に基づく個別化(Personalized)された参加型(Participatory)の予防(Preventive)医療(P4医療)である。このP4医療を実現するためには、Personalized Health Digital Twin(PHDT)を開発する必要がある。私は、PHDTの開発を目指して、二つのアプローチで理論と技術を開発してきた。一つは、時系列データの学習である。私の開発した生物システムの経時変化を形式化する方法を用いることで、トランスフォーマや自己教師学習などの最新のAI技術を適用して時系列データを学習することができる。しかし、データの学習に基づいて予測モデルを開発するには、本格的な医療ビックデータが必要となる。この問題を克服するために、私は、現象論的なアプローチと並行して、原理に基づく状態変化の規則を明らかにする研究を行ってきた。この研究から、生物力学という新たな推論の形式を考案した。この、形式によって、生命現象をこれまでとは異なる視点で解釈できるようになり、予測医学に向けた新たな展開が可能になってきた。本講義では、予測医学のための時系列データの学習法と生物力学の概要を紹介する。